SAPIXの英語 ~難関高校合格のメソッド~
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SAPIXの英語 ~難関高校合格のメソッド~

新学習指導要領の導入や大学入試改革が進み、英語教育は今、変革期の真っただ中にあります。4技能重視が盛んにいわれ、難関高校の入試問題にもその影響が見られます。これからはどのような英語力が求められるようになり、それを身に付けるためにどのような学習が必要になるのでしょうか。オリジナル教材の狙いなども含め、英語の学習法についてSAPIX中学部 英語科教科長が解説します。

近年の難関高校入試で求められる力とは

近年の難関高校入試の出題傾向は、知識や文法などを直接問うインプット型から、記述や表現をさせるアウトプット型に変わってきています。英作文を導入する学校が増えてきたことも、そうした流れの一環です。入試の出題傾向というより、日本の英語教育全体が、知識偏重から英語を使うことを意識した方向へとシフトしているように感じます。

例えば、今年の入試の出題例として、日本語の論説文の1文に下線が引かれ、前後の文脈を考えながら英訳させる問題がありました。一つの文を単に訳せばよいのではなく、全体の文意を理解した上で訳すことが求められます。単語や文法の知識を前提として、それらを使っていかに読解や記述につなげていくかが問われています。以前から一部の進学校ではこうした出題がありましたが、今年は早慶高・MARCH附属校でも見られました。

こうした問題に対応するには、問題文に書かれている状況や内容を理解し、正しい語彙を使って表現する力が必要です。また近年、難関高校で出題される長文の題材には、専門性が高いものが見受けられます。アルベルト・アインシュタインの相対性理論の時間の遅れに関する文も出題されていました。英語を読む・訳すだけでなく、高度な内容を読み解く力も求められます。そのため、単純に英語を勉強するのではなく、例えば、社会問題などに対する自分の考えを持ち、それを英語で表現できるようにならなければなりません。そうした出題に対応するには、さまざまなトピックやテーマについて考える機会を増やして、英語でアウトプットできるように繰り返し練習することが必要だと思います。

英語の力を効果的に伸ばす方法

英語を学習していく上で、気を付けなければならないことがあります。それは、先述の出題傾向とは一見逆のようですが、インプットをおろそかにしないことです。正しくアウトプットするためには、ベースとなるインプットの部分が極めて重要です。中学で学習する英文法が、その後の英語学習の全ての土台になっている点は、昔も今も全く変わりません。中学生のうちに土台を築けるかどうかで、その後に読める文章のレベルが変わってきます。英語は、語順が違うだけで意味が変わることもあります。なぜこの文がそのような意味になるのか、理由を理解するには文法の知識が必須なのです。

また、英語は言語なので、まずは「音」に慣れるようにしましょう。発音やアクセント、文中での強弱などを意識しながら聞いて話すことが、まずは大事です。できれば、小学生や中学生の早い時期からネイティブの音声サンプルを聞き、耳に入った音を自分の口の形で再現しながら発音練習するのが良いと思います。中学後半になって長文読解に入ると、いかに正確に速く読むかがポイントになります。ここでも音声は重要で、長文を読むのが得意な人は、読みながら頭の中で文字が「音声化」されているはずです。長文を読むのが苦手な人は、音読で文字と音声をつなげる練習を繰り返すと、速く読めるようになります。

その他のアドバイスとしては、英語は、まず骨格部分を述べて次に補足説明を肉付けしていくという構造になっていることが多いので、それを意識すると、文章でも会話でも理解しやすくなるはずです。また、これはSAPIXの授業スタイルにつながるのですが、単語と意味を一対一で学習するだけでなく、一つの単語をコアイメージとして理解した上で、そこからいろいろな表現に派生させていく学習をお勧めします。例えば「take」という動詞にも「取る」以外にさまざまな意味がありますし、単語を組み合わせることで異なる表現もできます。一つの単語のコアイメージから広げて学んでいくと、表現の引き出しが増え、アウトプットの力が飛躍的に向上します。

「なぜ」から学ぶ意欲を引き出す

英語に限らず、生徒の「なぜ」を大事にしながら双方向で進めていくのが、SAPIX共通の授業スタイルです。一方的に知識を伝えるのではなく、「なぜ」に対して納得のいく解説をすると、「なるほど」「面白い」と感じてもらえるはず。教えるというよりも、いかに生徒から引き出すかを意識しています。

近年の英作文問題のなかに、一つのテーマに対し複数の視点を踏まえて意見を述べなさいという形式があります。異なるスタンスそれぞれについて、論理的で説得力のある文を書くには、多角的な視点と相応の練習が必要です。英作文の授業でも、意見が分かれる場面を設定し、生徒同士で意見を述べ合う双方向性の下、論点整理をするなど、そうした問題への対応力を身に付けてもらっています。

SAPIXでは、オリジナルテキスト以外にも、先ほどの音に慣れるという観点から、英語音声トレーニングアプリ「MyET」を導入しています。小5〜中2生用の自宅学習プログラムで、授業で使うテキストに掲載している単語や例文を聞き、発声します。会話の前準備として、いろいろな表現を実際に口に出して練習しておけば、発声に対するハードルが一気に下がります。「MyET」は、ピッチ・リズム・強勢が判定されて点数が出るので、補強ポイントが明確になりますし、楽しみながら取り組めます。

一般的な英語のオンライン・レッスンは、いきなりスピーキングから始めますが、頭に浮かんでいないフレーズは口から出てきません。このプログラムは、答えたいと思う英文を、まずライティングします。添削されてできあがったスクリプトを自分で発声練習した上で、世界中のネイティブの先生とスピーキングするという流れです。インプット、アウトプットの手順を意識したプログラムになっています。

英語の味わい、面白さを知り
ぜひ、難関校合格を手にしてほしい

SAPIXが常々考えているのは、英語の持つ面白さ、味わいを生徒たちに伝えたいということです。特に中3生になって本格的に受験勉強を始める前に、英語だからこそ表現できる「ことばの醍醐味(だいごみ)」に触れてほしいのです。英語の魅力に気付き、奥深さを感じ、学ぶ楽しさを知れば、学習のモチベーションが簡単に下がることもありません。

今秋から中2生に向けて、物語文や説明文の日本語翻訳に挑戦するテキストを導入するのですが、それは日本語にどう訳すかを楽しみながら考えてほしいからです。例えば、「you」は場面や人間関係によって、「君」「お前」「あなた」など訳が変わります。それは日本語の醍醐味でもあります。言語の醍醐味は、母語と、学んでいる言葉の違いや関係性を理解することで感じられることが多く、ぜひ、このテキストを通じて英語の醍醐味を味わってもらいたいと思っています。

そうした生徒の多くは、アルファベットや単語が無機質な記号に見えています。しかし英単語も、例えば接頭語と語根の二つに分けると、そこに「色合い」が生まれます。それまで記号の羅列だったものが少し色付き、さらにまとまった文章の色合いに気付けば、面白さが見えてくるはずです。そのような視点や知識を通じて、生徒たちが自分で英語に色付けができるよう手伝ってあげる。それがSAPIXの授業でもあります。

ある最難関校の入試当日、終了後に生徒に英語の入試問題の感想を聞くと、「今日出た物語文は面白かった」と答えてくれたことがありました。私の経験では、そうした生徒は合格を手にする可能性が非常に高いです。難関校の英語の長文問題で問われているのは、実は英語の味わいに関わる部分が多いように感じます。学習するなかで、英語の面白さを実感できる。学校側もそうした生徒を求めている気がします。

小学生のうちから英語の音に触れ、英語文化に触れる、現代の子どもたちは恵まれた教育環境にあると思います。そうした環境やシステムを存分に生かしながら、ぜひ、英語を学ぶ楽しさを味わってほしいです。私たちも、英語の魅力、味わい、面白さを、授業を通じて感じてもらい、英語を使って皆さんが世界に向かって扉を開く、そのお手伝いができればと思っています。


SAPIX中学部 英語科講師によるコラム動画「Insight into English!」
SAPIX中学部 英語科ならではの考え方や着眼点がたっぷりと詰まったコラム動画を、YouTube公式チャンネルで公開中。英語の知識をより広く、深く使いこなすためのトピックを解説しています。以下からぜひ、ご視聴ください。
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※この記事は2021年8月2日に刊行されたSAPIX中学部の受験情報誌『スクエア』208号に掲載された記事のnote版です。

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