
東京都立戸山高等学校 2022年出題傾向リサーチ
英語

①リスニング問題:小問数5
例年通り、問題Aと問題Bの2つに分かれていました。問題Aは設問ごとに対話とそれに関する質問を聞き、適切なものを選択肢から答える形でした。問題Bはカナダの中学生によるスピーチで、その内容に関する選択問題と英文記述問題でした。
②対話文の読解(約1420語):小問数14
日本人とアメリカ人の生徒が、理科の発表について話し合いながら自然保護について考える対話文です。都立戸山高では例年、理系の内容の長文が出される傾向があります。問2や問3では直前の内容理解が試されました。与えられた語句を並べかえる問5は、語句のまとまりを作りにくく、ここでの時間の使い方がその後の時間配分を左右したと思われます。問7はイラストを参照し、本文の内容に関する短い文章の空所に適語を入れる問題で、選択肢の品詞や意味を意識する必要がありました。
③説明文の読解(約960語):小問数8
数学が芸術や現代の技術に活用されていることについての説明文です。問1の、特に空所aでは、正しい文法知識が試されました。問3は、4つの英文を本文の流れに合うように並べかえる問題で、冠詞や代名詞をヒントにして解けたかどうかがポイントでした。問5では語句の組み合わせを選び、適切な英語を完成させる問題で、パラグラフの内容の正確な理解が求められました。問3の文の並べかえや問5の語句の組み合わせは例年出題され、都立戸山高の特徴と言えます。問7は、本文内容の具体例として与えられていた図が何に見えるかについて40語以上50語程度の英語で書く問題でした。その面白さの説明も求められ、想像力とそれを文章にする表現力が試されました。例年、絵や写真から読み取れる内容についての英作文が出題されています。

数学

①小問集合
平方根の計算、二次方程式、連立方程式、確率、作図の5題からなる小問集合でした。基本的な内容なので、ミスをしないように丁寧に解き進め、完答を目指したい大問です。
②二次関数
二次関数と反比例のグラフを絡めた問題でした。〔問1〕は反比例の変化の割合についての基本問題で、確実に正解したいところです。〔問2〕〔問3〕については、与えられた条件に即した図を自分で描き、状況を正確に把握していく必要がありました。
③円
半円とその直径を一辺にもつ三角形についての問題でした。〔問1〕は角度の問題で、注目すべき場所が若干分かりづらかったため、少し手が止まってしまった受検生もいたことでしょう。〔問2〕(1)の証明問題は基本的な内容なので、正解しておきたいところです。(2)は線分の長さを求める問題で、解法に悩む受検生も少なくなかったと思われます。
④空間図形
例年同様、立体と動点を絡めた出題で、立方体とその底面の辺を含む直線上を動く点に関するものでした。〔問1〕〔問2〕は基本問題なので確実に正解したいところです。〔問3〕は少し求めづらい立体の体積で、類題を解いたことがあるかどうかで難しさの感じ方が変わったと思われます。

国語

①漢字の読み取り
受検生になじみのない語句が多く、例年と比較しても難度の高いものでした。
②漢字の書き取り
高難度の語句も含まれていたため、標準的な問題を確実に得点することが求められました。
③中勘助『夏目先生と私』
夏目漱石に師事していた筆者が、彼に関する思い出を回想する随筆文からの出題でした。例年同様、現代が舞台ではない文章から出題されているため、落ち着いて状況を把握することが大切です。問6で表現の効果について問われているのも例年通りです。記号選択5問と記述1問の設問構成でしたが、いずれも解答根拠が探しやすく標準的な難度であったため、なるべく失点を避けたいところでした。
④桑子敏雄『環境の哲学』
地球環境全体の問題を考える際に留意すべきことについて書かれた論説文からの出題でした。抽象的なテーマを扱っているため、受検生にとって難度の高い文章でした。制限字数200字の作文では、筆者独自の言い回しが意味するところを正確に理解したうえで受検生自身のことを書くように求められたため、書きづらかった受検生も多かったと思われます。まぎらわしい選択肢も多く、時間配分に注意することが求められました。
⑤高橋睦郎『読みなおし日本文学史』
歌枕の歴史を紹介しつつ、エピソードを交えながら詩歌と旅との関わりについて論じた文章からの出題でした。和歌の解釈が問われた問3では、和歌の成立事情が書かれた詞書を注意深く読んで状況を把握する必要がありました。文章自体は読みやすいものなので、手早く処理する必要がある大問でした。
