高校受験 SAPIX中学部
【2022年高校入試総括】森上教育研究所・高校進路研究会代表 佐藤先生に聞く
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【2022年高校入試総括】森上教育研究所・高校進路研究会代表 佐藤先生に聞く

高校受験 SAPIX中学部

昨年は新型コロナウイルス感染症の影響で、「安全志向」や「地元重視」の傾向が見られた高校入試。今春の入試ではどのような学校が志願者を集め、全体としてどのような傾向、特徴が見られたのでしょうか。森上教育研究所・高校進路研究会代表の佐藤潤平先生に、難関校の動向を中心に、分析・解説していただきました。

※取材は2022年4月21日に行いました。
※この記事は、2022年6月1日に刊行されたSAPIX中学部の受験情報誌『スクエア』213号に掲載された記事をnote用に再編集したものです。

森上教育研究所所長・森上展安先生(右)
高校進路研究会代表・佐藤潤平先生(左)

都立・公立の学力上位校は倍率アップ。不合格者数が近年最多の激戦に

――今年の高校入試を振り返って、全体の印象から聞かせてください。
昨年は、「安全志向」が見られましたが、今年はチャンレンジ層が戻ってきました。前年と比べ、難関校はもちろん、全体として上位校の難化傾向が見られます。遠距離通学を避けた「地元志向」が落ち着いたことも、難関校や上位校を目指す層を後押しした感があります。近年の様相が戻ってきたといえるでしょう。

――では、都立高校からお願いします。
学力上位校を中心に、人気校が難化しました。進学指導重点校は、創造理数科の新設で昨年との単純比較のできない立川を除いた6校全てで受検者が増え、受検倍率もアップしました。進学指導特別推進校にも、昨年増の揺り戻しで減らした学校はあるものの、国際の女子や小山台の男子が増加。特に新宿は男女とも大きく増やし、募集人員284名に対して606名が受検し、受検倍率は2.13倍。厳しい戦いだったことがうかがえます。ちなみにトップの進学指導重点校7校合計の不合格者数は、最近5年間で最も多く、上位校の難化を表しています。同じく不合格者数が過去5年間で最多だったのが、上野、文京、広尾といった学力帯の学校群。上位校と中堅校の人気の二極化は、都立校に限らず高校入試全体の傾向でもあります。

――神奈川や千葉はいかがでしたか。
神奈川は横浜翠嵐が受検者数を増やして受検倍率が2倍を超えました。受検者が減った学校もありますが、学力上位校は安定しています。一方で、入試当日の欠席者は、全体で前年の475名から765名に増えました。国立や私立の併願先をチャレンジ校にした層の増加が見て取れます。
千葉でも県立千葉、千葉東、県立船橋、東葛飾など上位校の受検倍率がアップしています。

渋谷幕張、市川、早大本庄学院などが通学懸念の払拭も追い風になり人気

――難関校で、特に志願者の増加が目立った学校はありましたか。
最難関校は大きな動きはないというのが近年のイメージなのですが、開成の志願者増が目立ちます。昨年の498名から今年は566名と、揺り戻しにしては大きな増加です。開成は大規模な新校舎建築計画が進んでおり、昨年から新校舎での授業も始まり、それも人気の一因でしょう。
渋谷幕張も志願者が増えました。東大をはじめとする好調な大学進学実績、海外大学への進学に力を入れた教育内容が高く評価されていると思われます。コロナ禍での2回目の入試ということで、遠方からの受験生が戻ってきたこともあるでしょう。
市川も1083名と、一昨年の960名、昨年の883名からかなり増えました。揺り戻しとも考えられますが、東大への合格実績が2年連続で20名を超え、教育改革に力を入れているイメージがあることから、来年以降も人気が継続する可能性があります。

――昨年、少し人気が落ち着いた早慶の附属・系属校はどうでしたか。
募集定員を減らした早実は、志願者数がそれほど減らなかったため、競争率は上がり、難化しました。昨年減らした早大本庄学院が増加に転じたのは、揺り戻しだけでなく、昨年に比べて通学がネガティブ要素と捉えられなくなってきたことも要因です。最難関校の一つである慶應女子には大きな動きは見られませんでした。

――同じく昨年は人気に一息ついた感があったMARCHはいかがですか。
昨年からの揺り戻しが見られました。特に志願者の増加が目立ったのが中大系です。昨年556名だった中大附属は785名。昨年431名と増加した法大が今年270名だったことから、法政から中央への“移動”があったと思われます。早実の定員減の影響もあったかもしれません。
青山学院は女子の志願者が600名、実倍率も5倍を超え、男子同様、難化しました。男子は昨年減の揺り戻しも考えられますが、女子は難化が継続しています。青山学院に関しては、都立校の男女別定員制の緩和策の影響があるか注目していました。今年は影響がなかったようですが、都立青山の男女別定員制の緩和策が進むと、特に女子に影響が出てくるかもしれません。

コース新設や制度の変更など動向変化につながる情報に注意

――その他の難関校や、注目すべき学校についても教えてください。
難関校で、受験者を増やした学校の一つがお茶の水女子大附属です。昨年志願者が増えたため今年は減る可能性がありましたが、さらに増えました。要因として、今年から募集停止した豊島岡女子の志望者層が同校に向かった可能性があります。昨年の地元志向の反動で、千葉方面からの受験者が増えたというデータもあります。
中堅校では、国公立TGコースという特進コースを開設した朋優学院も、神奈川方面からも併願しやすい立地もあって人気になっています。英検®による内申加点を追加した國學院も、英検®取得者から受験しやすい環境と受け止められ、人を集めたようです。

――来年の入試動向で、気を付けておくべきことはありますか。
まずは募集定員の変更やコース新設など前年からの変化です。都立では大泉、両国が高校募集を停止しましたが、周辺の学校の志願者が若干増えました。新設の立川の創造理数科はやはり人気で、受検倍率は4.44倍でした(普通科へのスライド合格あり)。同じく都立校では、男女別定員制の緩和拡大の影響が注目されます。今後は学校全体だけでなく、男女別の動向にも注意が必要でしょう。
また、東京女子学園が2023年度から共学化して芝国際中高に校名変更しますが、国際色の強い学校やコースは人気傾向にあるので、国際関係の新コース設置の動きには注目です。さらに、高校で大学単位が取得できる飛び入学制度の緩和の動きがあり、採用する附属校の人気につながる可能性があるので、この点もチェックしておいたほうが良いでしょう。

$${^※}$$英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。

森上展安先生からのアドバイス

今春、お茶の水女子大附属と中大の附属校が人気でした。お茶の水女子大学は2024年に共創工学部(仮称)を開設予定です。データサイエンスを基盤に、イノベーションを推進する女性を育成するとのこと。また、都心回帰が進む中央大学は、来年に法学部が多摩から茗荷谷(文京区)に移転します。大学に新たな魅力が加わると、附属校の志願者が増えて難化する傾向にあります。特に附属校の志望者は大学の動きにも留意しましょう。

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