東京都立高校 2017入学者選抜問題(進学指導重点校グループ)分析
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東京都立高校 2017入学者選抜問題(進学指導重点校グループ)分析

グループ作成問題について

2014年から2017年までの間は、進学指導重点校をはじめとする東京都立難関校が複数のグループにまとまり、共同で入試問題を作成(以下「グループ作成問題」と記す)していました。グループ作成問題では、大問ごとに複数の問題を作成し、高校がそれを組み合わせて入試問題を編成します。それに加えて一つの教科につき大問1題は学校オリジナルの問題(以下「自校作成問題」と記す)に差し替えていいというルールもありました。

※現在、グループ作成問題は、併設型中高一貫教育校でのみ使用されています。

英語

多くの学校が自校作成の問題を使用しました。どの学校の問題も、英語力をうまく測ることのできる非常に練られた良問であったと言えます。見方を変えれば、英語が得意な受検生とそうでない受検生で明確に差がついたのではないでしょうか。

出題形式では、並べかえ英作文・内容一致・自由英作文などの「入試の核」となる設問はどの組み合わせでも含まれ、自校作成の大問で図・イラストの読み取り(戸山高)、文整序(戸山高、立川高)、発音問題(日比谷高)などの問題を各校の方針に応じて加えるという形式は例年同様でした。

リスニング
【共通】東京都立共通問題を使用

問題Aと問題Bに分かれています。問題Aは例年通り、男性・女性による3つの短い対話文で、質問が1つずつあり、適切な英文を選ぶ形式でした。例年、問題Bは2問とも読まれた質問に対して英語で記述する形式でしたが、そのうち1問が適切な英文を選ぶ形式に変わりました。

対話文
【タイプA】高校生が地球温暖化について、二酸化炭素の観点から考察する対話文。
【タイプB】高校生が文化祭でお茶の歴史と効能について話し合う対話文。
【西★】認知心理学を学んでいる大学生のBarbaraの話から、高校生が勉強やスポーツなど日ごろの行動へのあるべき取り組み方を学ぶ対話文。

※★は自校作成問題と思われるもの。

グループ作成問題は2種類で、自校作成は西高のみでした。タイプAは、地球温暖化というポピュラーなテーマであり、問題も取り組みやすいものがほとんどでした。タイプBは、お茶というなじみ深いテーマではありましたが、問3の並べかえ英作文をはじめとして、受検生が悩みそうな設問が多く、タイプAよりも難しかったと思われます。

西高は、認知心理学というあまりなじみのないテーマではありましたが、勉強やスポーツなど日常的な行動を例に語られていたため、それほど読みにくくはありませんでした。文章内容をしっかり整理できているかどうかを確認する選択問題が多く、短時間で選択肢の違いを見極め、情報を効率よく処理する力が求められました。タイプAよりは難しく、タイプBよりは簡単というレベルでした。

物語文・説明文
【日比谷(物語文)】高校生のKanaが、以前学校で聞いた水不足で悩む発展途上国の人々を救うため、貯金をして井戸の建設費を寄付するという物語文。
【西・八王子東(説明文)】 微細気泡の有効活用について、魚の養殖・乗り物などの洗浄・野菜の鮮度管理の事例を挙げながら紹介する説明文。
【国立(物語文)】 薬学を志すAnnが、おじから聞いた二人の薬学者の話から、革新的な考え方の本質とそれを達成するために必要な資質を悟る物語文。
【戸山(説明文)】複数の観点から大陸移動説が導き出されるまでを述べた説明文。
【青山(物語文)】 高校生のMasaruが祖父や祖父と関係のある人々の仕事に対する姿勢を知り、仕事のやりがいに気づいていく物語文。
【立川(物語文)】 人助けというキーワードで結ばれた、主人公と彼の娘と外国人女性の偶然のつながりを描いた物語文。

西高と八王子東高、戸山高の3校が説明文で、それ以外は物語文でした。いずれも1,000語を超える分量で、大問2との時間配分によっては、解き終わらないという受検生もいたかもしれません。先端科学、海外や未来への視点、人との絆など、例年通りのテーマの内容が多く、入試に備えてきた受検生にとっては対応しやすかったように思われます。出題も、本文の内容理解をストレートに問うものが中心であり、「読めていれば解ける」という度合いが強まったと言えます。また、対話文同様自然な英語の表現が多く、それに伴ってよりハイレベルな語彙が求められました。

自由英作文は今年もすべての学校で出題されました。多くの学校が1つのテーマに対して40語程度で書くという出題であるのに対し、日比谷高、国立高は相反する2つの意見をそれぞれ20語程度で書くという出題でした。学力検査全体の分量を考慮に入れると、自由英作文にかける時間はそれほど取れないため、書ききれない受検生もいたと思われます。

まとめ

英まとめ

数学

今年は大問1が取り組みやすい出題でした。全体的に昨年より得点しやすい傾向があり、いかにミスをなくすかが重要でしょう。大問2の関数はタイプBよりタイプAが取り組みにくい印象ですが、複雑に見える計算でも丁寧に処理すれば確実に解くことができます。大問3の平面図形はいずれも図形的性質に気づく必要があり、基礎力が十分に試される設問だったと言えます。大問4の発展問題は、西高以外の6校は過去の進学指導重点校の傾向を踏襲した空間図形に関する問題でしたが、西高のみ整数分野からの出題となりました。

小問集合
(問1) 平方根の計算
(問2) 二次方程式または連立方程式
(問3) 不等式または二次関数、または確率
(問4) 確率または最短距離
(問5) 作図

※大問の中で分野が細かく分かれています。

(問1)平方根の計算、(問2)二次方程式または連立方程式、(問3)不等式または二次関数または確率、(問4)確率または最短距離、(問5)作図という5問構成は7校で共通です。

(問1)平方根の計算は難度に差があるものが2種類用意されていましたが、いずれも確実に正解したいところです。(問2)は二次方程式の計算は1種類、連立方程式は2種類ありました。いずれも丁寧に式を整理し、正解したい小問です。(問3)は二次関数が2種類ありました。不等式は、昨年同様根号に関する小問が出題されていますが、今年のほうが取り組みやすい問題でした。また、西高以外の6校は(問4)が確率でしたが、西高のみ円錐における展開図上の最短距離で、確率は(問3)で出題されました。確率は調べなければいけない場合の数が少ないので、苦労することはなかったと思われます。展開図上の最短距離は側面のおうぎ形の中心角に注目する必要がありますが、類題経験があるはずの基本問題です。(問5)は「線対称な円」、「図形の折り目」のいずれかが出題されています。どちらも難度に差はなく、標準的な問題です。

二次関数
【タイプA】二次関数と三角形
【タイプB】反比例と一次関数

タイプAは文字を用いて座標や直線の式を計算する問題でした。(問2)は直角二等辺三角形の性質や2直線が垂直に交わることを利用して、ミスのない計算をする必要があります。タイプBは双曲線上の座標を文字でしっかり表したうえで、問題の条件について立式すれば十分に対応できる問題と言えるでしょう。

平面図形
【タイプA】円と相似
【タイプB】円と合同・特別角

タイプAは円周角の性質を用いて三角形の相似を証明する問題や、相似な三角形の面積比についての問題でした。いずれも方針は立てやすいのですが、証明は書きにくさを感じた受検生も少なくなかったと思われます。タイプBは円と接線で作られる三角形の合同の証明と、角度や面積を求める問題でした。(問2)(2)は特別角に気づけば容易に解けますが、気づけなかった受検生も多かったと思われます。

発展問題
【日比谷】三角柱と空間把握
【西】整数
【国立】五角柱と空間把握
【八王子東】正四角錐と空間把握
【戸山】円柱と動点
【青山】正四角錐と空間把握
【立川】立方体と動点

日比谷高は、三角柱を題材に面積比・体積を求める問題で、(問3)は適切な断面を抜き出して考える必要がある難問でした。西高は7校で唯一空間図形以外からの出題でした。特に(問2)(2)は題意も把握しづらく、時間内にしっかり取り組めた受検生はほとんどいなかったと思われます。国立高は、五角柱を利用して線分の長さ、面積、体積を求める典型問題で、計算ミスに注意しながら丁寧に取り組むことが求められました。八王子東高は(問1)、(問2)のいずれも正四角錐に関する基本問題です。短時間で処理することも可能なので、ミスしないことが重要でした。戸山高の問題は、円柱表面上の動点の位置関係が把握できたかどうかがポイントでした。(問2)は求める図形を正確に把握できなかった受検生もいたと思われます。青山高の問題は、(問1)(問3)は取り組みやすいのですが、(問2)は線分の長さを求めるのに手間がかかる難問でした。立川高の問題は、動点が4つあり少しとまどった受検生もいたと思われますが、(問1)(1)(2)は確実に正解しておきたい問題です。(問2)も点の位置を把握し、適切な平面でとらえ、完答を目指すことは可能でした。

まとめ

数まとめ

国語

文章量や設問数は例年並みで、昨年に引き続き記述問題の減少傾向が見受けられました。ただし、記号選択問題の難度は高く、時間的な余裕はないと言ってよいでしょう。また、多くの学校が大問4の説明的文章を自校作成問題に差し替えている点にも注意が必要です。

漢字の読み取り・書き取り
【共通】読み取り5問・書き取り5問

読み取り・書き取りともに難度が高く、取れるものを確実に正解することが求められます。近年の傾向通り、社会科で学習するような語句も問われているため、科目を問わず幅広く語彙を身につけなければなりません。中学生にはなじみの薄い熟語が複数出されている点にも注意が必要です。

文学的文章
【タイプA】武田綾乃『白線と一歩』
【タイプB】松浦寿輝『川の光2』

タイプAは部活動をめぐる高校生の人間関係を描いた文章で、登場人物それぞれの心情の機微を読み取ることが求められました。タイプBは迷い犬を保護した家族のやりとりを描いたもので、文章を最後まできちんと読み取らないと解答できない設問を複数含みます。タイプA・Bともに、文章自体は読みやすいものの、記号選択の難度は高めであるため、選択肢を慎重に検討することが必要です。また、問6で文章表現の特徴について問われている点でも共通しています。

説明的文章
【日比谷】河野哲也『〈心〉はからだの外にある』
【西】高坂正堯『世界地図の中で考える』
【国立】野矢茂樹『心という難問』
【八王子東・青山】小林道憲『芸術学事始め』
【戸山】中沢新一『芸術人類学』
【立川】苫野一徳『「自由」はいかに可能か』

昨年までの傾向通り、複数の学校が大問4の説明的文章を自校作成問題に差し替えています。グループ作成の問題を含めて、文章テーマは多岐にわたっていますが、いずれも長めの文章で設問の難度も高く、時間的な余裕がないという点では共通していました。例年の傾向通り、この大問の出来が得点差を生み出したものと考えられます。今年も制限字数200字以内(日比谷のみ250字以内)の作文をいかに素早く処理できるかがポイントになったと言えるでしょう。条件を細かく設定している学校もあるため、注意が必要です。また、日比谷高や西高では作文に加えて記述問題が出されているため、いっそうの処理スピードが求められました。いずれのタイプの問題でも、抽象的で硬質な文章を短時間で読み解かなければならないため、しっかりとした対策が欠かせません。

古典を含む文章
【タイプA】鈴木一雄『物語文学を歩く』
【タイプB】仁平勝『日本の詩と季節』

タイプAは『竹取物語』の引用を含む文章で、引用箇所の直後に付されている現代語訳を参照しながら読み進めていくものでした。読解に高度な古文知識は必要ありませんが、古文に親しんでいると有利になる設問が含まれています。タイプBは日本人の季節感について論じた文章で、季語の知識があると読みやすいものでした。両タイプとも昨年に引き続き記述問題は出されず、記号選択を中心とする設問構成でした。あわせて、文法や語句の知識なども問われています。

まとめ

国まとめ


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