
お茶の水女子大学附属高等学校 2022年出題傾向リサーチ
英語

①リスニング問題:小問数4
英文が2回読まれ、問題用紙に書かれた4つの質問に日本語で答える形式でした。2021年と同様、質問はすべて日本語で書かれていました。
②リスニング問題:小問数3
例年通り、放送された英文の一部を書き取る問題でした。英文は3回読まれ、2回目がゆっくりと読まれるため、高得点を狙いたい大問です。
③説明文の読解(約790語):小問数13
将来の人口増加に伴う食糧不足を解決する策に関する説明文でした。問題はすべて、要約文の空所に適語を補充する問題でした。例年通り、同じ単語が入る箇所は空所が複数設けられているため、最初の空所だけでなく、その後の空所とあわせて考える必要がありました。
④物語文の読解(約700語):小問数3
失業中で仕事を探す夫とレストランで働く妊娠中の妻の間で起きた出来事についての物語文でした。問題はすべて本文中の下線部について日本語で説明するもので、登場人物の心情や場面の移り変わりに注意して内容をまとめる力が必要でした。
⑤説明文の読解(約350語):小問数5
広告に関する説明文の中の、5つの空所に当てはまる英文を選ぶ問題でした。空所の前後や各段落で述べられていることを把握しながら読み進めることができれば、全問正解を目指せる問題でした。
⑥条件英作文(約250語):小問数4
例年通り、与えられている語句を順に用いて、不足している語を補いながら英文を完成させる問題でした。
⑦自由英作文:小問数1
高校生は部活動に参加するべきかどうかについて、自分の意見とその理由を40語程度の英語で述べる問題でした。3年連続で、日常生活に関するテーマが出題されました。

数学

①計算
(1)累乗を含む計算、(2)平方根の2問編成でした。落ち着いて、ミスなく確実に正解したい問題でした。
②二次関数
自分でグラフを描く必要のある二次関数の問題でした。放物線と直線の式に未知数を含んでいますが、内容は典型的であり、お茶の水女子大附高の受検生であれば、迷うことなく完答を目指したい問題です。
③平面図形(作図)
大問2に続き、図が与えられていない平面図形の問題でした。そのうえ、条件を図示しにくい設定であったため、戸惑った受検生も多かったことでしょう。作図も例年より手をつけにくく、手早く正確に処理することは難しかったものと思われます。
④文章題
池の周りを3人で回る設定の速さの文章題でした。2人で回る設定の演習経験は多いと思いますが、この問題は3人で、かつ条件が複雑であったため、正答率はあまり高くないものと思われます。
⑤確率
袋の中に入った3種類の玉を取り出す確率の問題でした。玉の数は決まっていないものの、きちんと問題を読み進めていくことで、難なく正答にたどり着けたことでしょう。時間をかけずに解答したい大問でした。

国語

①伊勢武史『生態学者の目のツケドコロ』
環境問題について「因果関係」と「相関関係」という観点から論じた文章でした。具体的な内容が多く、かつ平易な言葉で書かれているため、論旨は掴みやすいものだったと言えます。2021年に出されていた図表に関する設問は出されず、読解を中心とする標準的な設問構成に戻りました。記述は制限字数50字と80字のものと、字数制限のないものが各1問出されていますが、いずれも設問の指示を正確に把握し、解答に結びつける必要のあるものでした。
②芥川龍之介『戯作三昧』
創作の苦しみを味わう主人公が、孫との他愛ないやり取りを通じて慰めを得る場面を描いた文章です。例年の傾向通り時代設定の古い文章ですが、難解な語句には注釈が付けられているため、それをヒントにしつつ読み進めれば読解にさほど苦労するものではありません。制限字数40字と60字の記述は、短い字数の中で必要な内容を的確にまとめることや、傍線部内の比喩表現を適切に換言することが求められ、苦労した受検生も多かったと思われます。知識分野からは「ない」の識別が問われましたが、高校入試では頻出の内容なので、確実に正解したいところです。
③『宇治拾遺物語』
鎌倉時代成立の説話集からの出題です。ストーリー自体は明確で、注釈も豊富に付けられているため読みにくさはありません。古文単語や傍線部の解釈に関する設問では受検生にとってなじみの薄い語句の知識も要求されました。制限字数20字の記述は対応する内容を端的にまとめる必要があり、得点に差がついたものと思われます。

理科

①小問集合(物理、化学、生物、地学)
各分野における基礎から標準レベルの幅広い知識が問われました。例年と同じく、解答の個数が定められている場合と、定められていない場合があり、問題の指示を読み飛ばさず、慎重に解答する必要があります。
②小問集合(物理、化学、生物、地学)
(1)から(4)までは、電流と化学変化に関する基礎的な計算問題なので、ここでの取りこぼしは避けたいところです。(5)以降は記述問題です。典型的ではない問題もあったため、幅広い学習と丁寧な記述力が求められました。
③環境問題、岩石(地学)
環境問題をテーマに、モデル図の分析と関係する知識が問われました。類題の演習経験がある受検生は対応できたと考えられます。
④力、運動とエネルギー、仕事(物理)
斜面上を運動する物体にはたらく力と力学的エネルギーに関する問題です。実験結果を正確に読み取り、問われている状況を整理する分析力と、運動に関する正確な理解が求められました。
⑤人体(生物)
心臓が血液を循環させるしくみについて、与えられたグラフと知識を組み合わせて状況を分析する力が求められました。計算問題は複雑ではないため、問題文の条件を正しく用いながら慎重に解き進め、確実に正解したい問題でした。
⑥水溶液、イオン(化学)
毎年出題される茶実子さんが登場する問題ですが、分野が生物から化学になり、計算が少なくなっています。水溶液やイオンに関する基礎的な知識が問われました。新学習指導要領からイオン化傾向が出題され、その仕組みを正しく理解している必要がありました。

社会

①地理総合
世界と日本の貿易や産業に関する問題でした。統計や選択肢の正誤を判断するものの中には、慎重な分析を必要とするものもありました。また、2つの記述問題は、指定語句をどのように使うかという記述力が試されるものでした。
②日本地理
沖縄県を中心とする日本地理の問題でした。沖縄県の自然・気候・産業などに関する知識がしっかりと整理されている必要がありました。
③公民総合
新内閣の組閣を題材とした公民の総合問題でした。国会・内閣に関する問題が中心でしたが、典型的なものがほとんどなので、確実に得点したい大問でした。
④政治
男女共同参画社会を題材にした問題でした。SDGsに対する関心が試される問題は、社会の問題点を自分なりの視点で見る姿勢を持っていることが重要です。
⑤歴史総合
感染症を題材とした歴史の総合問題でした。空欄補充を含む語句記述問題や記号選択問題は基本的なもので、確実に得点する必要がありました。
⑥歴史総合
明治から昭和にかけて日本の軍事費の推移を表したグラフを題材とした問題でした。第一次世界大戦後の出来事を細かく把握していなければ正解できない難度の高いものもありました。
