
灘高等学校 2022年出題傾向リサーチ
英語

①エッセイの読解(約960語):小問数11
バスケットボール好きの少年が、努力を重ねて周りから評価されるようになる様子を母親の視点で描いたエッセイです。文脈理解を問うものが多く、特に問6は空所を含む英文の直前だけでなく、本文の前半部分の内容と併せて考える必要がある難問です。
②リスニング問題:小問数5
過去から現在に至るまでのさまざまな時計に関する説明文です。放送文の内容に関する5つの質問の答えを選ぶ形式です。
③適語選択補充・共通語補充:小問数5
1と2は空所に当てはまる語を選ぶ問題で、3~5は2つの英文の空所に共通して入る英単語を答える問題です。共通語補充はどれも高度な多義語の知識が問われています。
④エッセイの読解(約400語):小問数5
移民と言語の関係性についてのエッセイです。問1は高度な文法の知識が必要とされるだけでなく、分かりやすい日本語で記述する力も求められています。問4の英文和訳は難解な文構造の理解を問うものです。
⑤誤文訂正:小問数5
英文中の誤っている箇所を答える形式です。正確な文法知識が求められています。
⑥エッセイの読解(約870語):小問数16
ある捨て猫との出会いをきっかけに自身の「可能性」について考えるエッセイです。見慣れない英単語が多いため文脈を頼りに読み進める必要がある点は、灘高の例年の特徴と言えます。
⑦和文英訳:小問数2
出題数は例年よりも少なく、標準的な難度です。
⑧自由英作文:小問数1
近年世界中で頻繁に使われるようになったある英単語に関して、英語で自分の考えを記述する問題です。

数学

①小問集合
(1)平方根の計算、(2)サイコロの確率、(3)円、(4)食塩水の文章題の4問でした。いずれも標準的な難度で、灘高の受験生であれば類題を解いたことがあったと思われます。すべて正解したい大問です。
②整数
整数部分、小数部分に関する問題でした。難度は高くないので、注意深く丁寧に取り組みたいところです。
③二次関数
放物線上の頂点でできる図形の面積についての問題でした。(1)(2)は基本問題です。(3)は工夫して解くことができれば計算量を抑えることができますが、戸惑った受験生も多かったことでしょう。
④確率
特定の文字列が含まれる場合を考える確率の問題でした。設定はシンプルですが、(2)がやや考えづらく、正答率は高くなかったと思われます。過去の入試問題で類題が出されているため、その取り組み方で正答率に差がついた側面もあったと考えられます。
⑤空間図形
立方体の内部にできる立体を切断する問題でした。計算量は多くないため、(1)で切断面を正確に把握することができれば(2)まで完答できると思われますが、切断面の作図に苦しんだ受験生もいたことでしょう。
⑥証明問題
三角形とその内部の相似形を利用する問題でした。解答の方針は立てやすいものの、図形がやや複雑なため、最後まで正解できた受験生は多くなかったと思われます。

国語

①信岡朝子『快楽としての動物保護』
人間の動物保護についての価値観が、逆説的に動物の減少を招くおそれがあることについて論じた文章でした。少し長めですが、環境問題や生物多様性といった現代文には頻出のテーマが取り上げられているので、標準的な難度の文章だと言えます。例年通り字数制限のない記述が設問の中心です。傍線部を的確に解釈することはもちろんですが、設問の指示を読み落とさず、「問いに対応した答え」がどこまで作成できているかで、得点に大きな差が生じたと考えられます。漢字の書き取りは一部難度の高いものもありますが、それ以外の失点は避けたいところです。
②赤坂憲雄『旅学的な文体』
民俗学者である筆者が、はじめて地域住民への聞き取り調査を行ったときの経験をもとに、他者に「聞く」ことの意味を、独自の視点で描いた随筆文でした。大問1と比べ文章は短めですが、受験生が見慣れない言葉も多く、時間配分に気を配る必要があります。また、設問はすべて字数制限のない記述でした。比喩表現を換言する記述については、傍線部の意味は理解できても、表現しにくいものがあり、得点差がついたと考えられます。
③『和歌威徳物語』
優れた和歌を詠むことで恩恵を受けるという話を集めた、江戸時代の説話集からの出題でした。話の展開は高校入試の問題でよく見かけるもので、読みやすかったと思います。現代文と同様に字数制限のない記述が中心で、古文の知識が直接問われるというよりも、それを前提に読解した内容を説明するものが多く出題されています。ここでは高得点を狙いたいところです。

理科

①運動とエネルギー(物理)
斜面上の物体や振り子の運動について、さまざまな形式のグラフを選択、作図する問題で、状況を分析する力が求められました。基礎レベルのものを見極めて確実に正解したうえで、標準レベルのものでどれだけ正解できるかが鍵でした。
②地質(地学)
地震、火山、岩石などについて、知識を幅広く確認する問題でした。一部、細かい知識が求められる設問も見られ、さまざまなことに興味をもって学習しているかどうかが問われました。
③化学変化(化学)
誤りを含む化学反応式を正しく書き直す問題でした。誤っている部分を見逃さないよう、落ち着いて対処する必要があります。一部を除き、灘高の化学分野の問題としては易しく、高得点を目指したい内容でした。
④人体(生物)
人体に関する知識を確認する問題と、腎臓に関する計算問題でした。計算問題は、難関校ではよく取り上げられる題材であり、受験生の多くが類題を解いたことがあったと思われます。落ち着いて計算し、ミスを最小限にとどめたい内容でした。
⑤化学変化(化学)
灘高をはじめとした難関校でよく見られる、原子の質量比を用いる化学の計算問題でした。灘高の過去の入試問題でくり返し登場しているため、高得点を目指したい内容です。
⑥水圧(物理)
水圧に関する問題で、難関校ではときおり取り上げられる題材を扱っています。その場で与えられた条件を用いる設問があるものの、誘導になっているため解きやすいと感じた受験生が多かったと思われます。類題を解いたことがあり、実験装置の性質をしっかり理解していると有利でしょう。
